<マラリア、結核、デング熱の野戦病院>
まず7月以来5ヶ月ぶりに来て感じたのは重篤な疾患が激発していることです。病棟は常に満床で、熱が40度近かったり、命の危険性が高いケースばかりです。ことマラリアについては激発しているという印象が強いです。おそらく12月、遅れて雨期がやって来て雨が降り、じめじめしてきて蚊が増えているためもあるでしょう。しかし別の印象としては、「みんな食べるのに結構困ってきているな」という感じがあります。もちろん印象に過ぎないところもありますが、食が十分得られていないために身体の抵抗力が失われていて、通常の病気でも重篤になってしまっているという感じがします。
今日入院したマルコ、5歳もそうです。
3歳なのに体重は通常の半分しかありません。手足はやせ細り、切れの悪い咳をゼロゼロとしています。結核なのか肺炎なのか…。この1週間で急に悪くなっているので、肺炎を疑いますが、長い咳の既往歴から結核も否定できません。おまけに高熱と脱水、全身の悪寒。これはマラリアも疑わなければならない症状です。まずは血液を採り、スライドに塗って顕微鏡でマラリアの原虫を見つけなければなりませんが、何と、その顕微鏡で診る時に使う油浸オイルが全くなく、マラリアの検査ができない状況です。国中の病院でこのオイルが欠乏しているとのこと。誰かが利権で隠しているとしかいいようのない事態です。とにかくこの状況ではいけないので、「地球のステージ」は高価であっても資金を提供しこの油浸オイルを手に入れました。ようやく高価な3ボトルが見つかり、向こう2週間は何とか持つという感じです。こんなこと今まで全くなかったのに、どういうことでしょう。国がかえって混乱しているとしか言いようがありません。
マラリア検査の結果は明日帰ってきますが、マルコの状態が悪くならないことを祈るばかりです。
今日は診療2日目でしたが、午後から、もう一人の代診サンタ医師が不在となり、桑山一人で診察です。
午後からだけでも50人はきます。その半分は新患ですが、多くが風邪をこじらせたものなので、比較的手がかからないで治療方針が立てられます。しかし今日の午後は、それに加え重篤なマラリアのケースが立て続けに来たり、お湯をこぼして太ももの部分にやけどを負い、べろんと皮のむけた少女、ケンカの末に相手にアキレス腱に剣を立てられザックリを切られている青年、今日生まれたばかりなのにすでに39度もの熱のある新生児…、と、内科、小児科、外科、皮膚科の知識が必要とされる多彩なケースがわんさかやって来ました。医者として仕事してきて、こんなに「医者らしい」仕事をするのはいつもこのバイロピテ診療所だけですね、日本ではまずあり得ない仕事状況です。 薬は相変わらず底をつきかけているものばかりで、抗生物質も以前は5種類ほどあったのに、現在は2種類、これでは治るものも治りません。でも何とか工夫しあるもので処方を決めていきますが、改めて日本の医療の充実(しすぎ)を思い知らされる感じです。
それでも、受付のアメリアはちゃんと仕事をし、一人残らずカルテをちゃんと出してきます。事務長のセレステは要所要所で立ち回り、スタッフの怠慢を威嚇しながら目を光らせています。それに応えるべく今回派遣された須藤さんは壊れてしまっていた内線電話の修復に取り組み、今日、23日には緯線し直し作業が終わって、再び2年半ぶりで、内線電話は復活しました。外来は涼しい部屋の中で行われますが、電話の修理は外での仕事がほとんどです。灼熱の中須藤さんはがんばって仕事をし、見事に完遂しました。事務局の明ちゃんも診察の補助をし、使えるテトゥン語を駆使して、活動しています。何より彼女が関わって寄贈した今回の提供車両はちゃんと活躍しており、「地球のステージ」の面目躍如という感じです。詳しくは、その報告をごらんください。
前回は、ピアニスト兼編曲者である石橋優子ちゃんと桑山は「地球のステージ」の東ティモール篇をバイロピテ診療所で生演奏しましたが、その支援したギターやキーボードは残っており、明後日のクリスマス・パーティでは、まずギターは使えそうなので、桑山は歌う気でいます。
スタディツアーで参加した茨城チーム(茨城県内で地球のステージを支えている人たち)の長谷川さんは一生懸命ペンシルバルーンを作り、診察の恐怖で泣きそうな幼児を見事笑顔に戻したりして活躍しています。
短い支援ではありますが、それぞれがそれぞれの活動を行い集中してバイロピテ診療所に関わっています。
あと数日しかありませんが、とにかくできることを行って帰国し、それをまたステージで伝えていければと思っています。
長崎県壱岐の島にある小さな小学校、壱岐市立初山小学校の4年生9名のみんなが、担任の中村浩子先生(ステージ会員)が語るアカペトの話に触発されて作った千羽鶴は、きょう、ジャシントという13歳の少年の休むベットの頭に飾られ、役目を果たしています。アカペトは今は入院していないけど第2,第3のアカペトは入院しています。その少年少女を励ますために、その結核治療室の横にある小さな一人部屋に入院する人たちは、日本の優しい少年少女の折った千羽鶴に励まされていくことでしょう。 |