NPO法人 地球のステージ
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更新: 2005年8月26日
 
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オープン・デー

 子どもたちとの活動を始めてから1ヶ月が経とうとしていた頃、1週間後に女子、男子、それぞれの「オープン・デー」を開くことが決定。子どもたちがご家族を事務所に呼んで、ワークショップの中で作った作品をみてもらったり、演劇を披露したりして、自分たちが今まで週3回、一体何をしに「フロントライン」に来ているのかを少し知ってもらおう!という企画。

うちに通ってくる女子も男子もみんなイベントが大好き。この話を聞いてすぐに準備に取り掛かる。通常のワークショップ予定を変更して丸一週間、図工がしたい子、演劇がしたい子に分かれる。図工班はご家族を歓迎するためのポースターづくりや新しい作品づくり、演劇班は役作りに専念する。

< 女子の発表会 >

演劇といえばガッサンの専門分野。子役として映画にも出演した経験もあって、舞台にも何度も立った経験があるから、子どもたちへの指導もかなり本格的。いつもニコニコしているガッサンも演劇となると眼つきも変わって真剣そのもの。子どもたちもふざけてはいられない。

今回の女子の発表会では、アラビア語での演劇が2つ用意される。演劇のシナリオ・台詞はガッサンと子どもたちが書いたオリジナル作。

演劇その1:祖父が孫娘に、昔土地を奪われ、難民となってしまった話を聞かせる。その後、娘の友人が結婚式を挙げている途中、花嫁の弟がイスラエル軍に撃ち殺された事実を知らされ、泣き崩れる。

減劇その2:チョコレート好きな子がずっと歯磨きをしないでいたら虫歯になってしまい、歯医者さんにいかなければならなくなる。そこで痛い思いをし、歯磨きの大切さを学ぶ。

その他にも歌の披露、詩の朗読、盛り沢山のパフォーマンスが予定される。

そして、これを機に子どもたちに今まで獲得してきた英会話を披露しよう!・・・と言いたいところだけど、子どもたちと今までやってきた英会話クラスは、正直言って全然「英会話」になっていない。12才から15才という、あまりにもの年齢のばらつきと知識のギャップで、そしてこの年齢特有の落ち着きのなさで、彼らに英会話を教える、というより、1時間半、いろんなゲームをさせたり、身体を動かしてもらったりして、いかに飽きさせないかが勝負。ワークショップが終わったら、子どもたちが「まー、楽しかったかな」と思ってくれるついでに、私が話す英語に少し聞きなれて、単語を1つ、2つ多く覚えてくれればバンバンザイ、と妥協するまでになっている。

それでも、せっかくだからオープン・デーに英語で何かをしてくれる人の立候補者を募ってみたら・・・誰一人も手を上げない。人前で下手に英語で何かするより、上手にアラビア語でした方が良いという。でも、あまりにもがっかりした私の顔をみてか、結局女の子のグループからは心優しい子が2人、「英語で演劇してもいいかな」と言ってきてくれる。

「何をテーマに演劇がしたい?」と聞いてみると、二人とも明るい声で同時に、「シャヒ−ド(殉教者)について!」と言う。

 おいおい、と内心思う私。「もっと明るいテーマはどうよ?」と一応聞いてみるけど、二人とも頭を横に振り、同じ明るい声で、「シャヒ−ドについてがいい」と言う。

「殉教者」というと、日本では自爆する人のことだと思うかもしれないけど、現地では自爆する人に限定した言葉でもない。如何なる理由であれ、イスラエル軍に殺された人全てを含む。イスラエル軍の軍用ブルドーザーが倒した木の下敷きになって亡くなった人も同じく「殉教者」と呼ばれる。

彼女たちが考えていた演劇には、母親、息子、そして息子のお友だちが登場。息子がお友だちと一緒に出かけていた途中、イスラエル兵に撃たれ、そのまま帰らぬ人となる。母親はその事実を友だちから聞き、泣き叫ぶ、というシナリオ。シナリオと台詞は彼女達が考え、私は英訳に協力する。でも、この劇には少なくとも3人が必要らしく、いつの間にか私も1役任されることに。それも、息子をイスラエル兵に殺される母親の役。

演劇の練習時間には私も参加を強制され、ガッサンの厳しい指導を受ける。「だめだよ、ユミ、そんなんじゃ。ちゃんと観客にユミの顔が見れるように立たなきゃ。はい、やり直し」子どもたちも同じ厳しい目で私の演劇を観察。失敗したらただでは済まなさそう・・・

女子のオープン・デー当日、3時からの活動なのに2時前にはほとんどの子が事務所に来ている。図工班の子たちは作品展示の最終チェックを行い、演劇班の子たちは舞台衣装に着替え、最後の練習に取り掛かる。そして、徐々にご家族の方が到着し始める。平日のいうこともあって、来てくれたご家族の方は合計で約20人、期待していたほどの人数ではないが、まずまずの集まり。

そして、女子の発表会は本当に見事なもの。演劇班のどの子も練習時以上に演技力を発揮し、なかなか本格的。ガッサンも彼女達自身も大満足。


Sahar & Maha
 

そして、私のパレスチナ初舞台といえば・・・恰幅の良いパレスチナ母を演じるために、ウェースト回りに枕までくくりつけて、衣装は完璧。悲劇の母親を演じるために台詞もちゃんと覚えたんだけど・・・私が舞台に立った瞬間から、何をしても子どもたちも観客もみんなただただ大笑い。しまいに、私が「アハマド、お前は死んでしまったんだね〜」と泣き叫ぶクライマックスのところでは観客は感動の涙を流すどころか、大爆笑で終わってしまう。うーむ。もっと修行が必要なのかしら。

なにはともあれ、ご家族の方も満足そうに帰っていく。次の集まりの時に、女子たちにその日の感想を聞いてみると、ほとんどの子たちが、「人前でしゃべれて、すごく自信が付いた」と言う。人前では何もしなかった図工班の子たちも、「事務所に自分達の作品がたくさん飾られているのをみて、なんだか達成感が感じられた。家族に褒めてもらえて嬉しかった」と話してくれる。

こういうことが、彼女達一人一人の自信に繋がることを願って止まない私たちスタッフなのだ。


< 男子の発表会 >

それに比べて男子はというと・・・

 女子と同じように、男子も図工班と演劇班に分かれ、演劇班はガッサンの厳しい指導を受けながらの訓練を受ける。内容は女子ほど盛りだくさんではないけど、演劇が1つ、その他に歌とパロディーが予定される。

でも、オープン・デー当日、発表会の時間が過ぎても、待てど待てど家族の方がほとんど訪れない。結局、集まってくださったご家族の方は5、6人程度。オープン・デーの一週間前から毎回、子どもたちに「ご両親にオープン・デーの話、した?」と聞いて、みんなから「うん、話た」という返事を受けていたにも関わらず。ご家族の人が忙しいのも分かるけど、それにしても集まりがあまりにも悪い。どうやら、彼らはご家族にオープン・デーの話をしていなかったらしい。

そして、観客が少なくて気合が入らなかったのか、演劇も歌も練習の時の方が本番より断然良い。特訓の時はあんなに生き生きと役を演じて、歌もあんなに上手に、そして楽しそうに歌っていたのに、本番ではみんなの声も小さいし、動きも鈍い。ガッサンのあまりにもがっかりした顔を見ていられない。あんなに特訓したのにぃぃ・・・という感じで、普段はエネルギーが有り余っているガッサンが今日ばかりは抜け殻のようになっている。

他のスタッフも全員がっかり。ご家族が帰られて、後片付けをする時間になると、いつも冷静なガーダも、「あー、もういい!事務所の掃除は私一人でもやるから、早く彼らを家に帰して!顔も見たくない!」と男子を追い払うまでになる。その日はスタッフだけで事務所をピカピカに掃除し、男子のオープン・デーについての感想を、「今日は事務所がきれいになって良かったね」に止めておく。

でも、あんなに頑張って演劇の練習に取り組んでいたのに、なんでご家族にその成果を見てもらいたくないかなぁ〜。不思議でしょうがなかった。でも、数日後、男子のほとんどがなぜご両親にオープン・デーのことを話さなかったかが判明。どうやら、親が事務所に来たら、スタッフの皆が親に彼らの普段のいろんないたずらや悪さについて報告するのを恐れていたようだ。

あんなにヤンチャで威張っている彼らも、やっぱり親の雷は恐いんだね、とスタッフ一同、ますますあきれる。

プロジェクト最後の発表会は男女共同で行う予定。どうなるものやら・・・

パレスティナ事業関連
☆由美のラファ日記☆ ☆活動支援報告 桑山☆
・第1回 03.2.3〜
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