|
大学を出て、英語を駆使して、いろんな機関と仕事をしてきたハーディだが、大変自信家である。
しかしそれが鼻につくようなことはない。ガッサンのワークショップには積極的に参加し、空いた時間を一切作らないのが
ハーディ流の仕事のし方だ。もちろん出勤も必ず15分前には事務所に来ている。几帳面な人でもあるのだ。
主に現在は文書の翻訳の仕事と、寺畑さんの行う英語クラスの通訳としての仕事が中心であるが、男の子クラスは、とにかく12歳〜15歳なんて元気がよすぎてぜんぜんまとまらない集団なのにも関わらず、一声で黙らせてしまうほどに、すごい存在感のある24歳なのである。
とにかく、一生懸命仕事をする。
家では、12人兄弟の真中くらいであるが、一家を背負う旗頭として活躍しているのだ。なんと言っても「Frontline」はラファでほとんどない国際支援の団体であり、そのスタッフなのだから…。
彼はいつも「僕たちのFrontlineはさ…」という話し方をする。
すでにこの団体が自分の所属するものであるという意識で高まっているのだ。そして、子どもたちへの接し方は、ちょっときびしめの中学校教師という感じで、実に頼り甲斐がある。
昨日、飲み水を買うために近くのフィルター水売り場にガッサンと出かけた。灯油缶大の大きさのもの3缶を持っていき、ガッサンはそのままコピーを取りに出かけた。
ガッサンは帰りにこの水を持ちかえると思うが、気を遣って桑山は灯油缶大の大きさのその水を2つ両手に持って歩き始めた。
これは重い…。
フィリピンで1日10缶を5km離れたところから運ぶなんて…とても自分には無理だと思った。
とにかく10歩も歩くと、炎天下でつらいし、両手がしびれてくる・・・。
すると、急ぎハーディが走ってくるではないか。
「どうしたの?」
「いや、ドクトル・ケイ(こっちではそう呼んでもらっている)が一人で無理してんじゃないかと思って…」
「うう・・・」
「ホレ、持つよ」
そういってハーディは2缶ともひょいと持って歩き始めた。
「一つは持つよ」
そういっても決してその仕事はさせない。
「慣れているから大丈夫」
やすやすと彼は事務所まで運んだ。
気持ちのやさしい、たくましい青年である。
加えて、この青少年活動、心理社会的ケアを非常に気に入っている。空いている時間は一切作らない誠実さとまじめさ…。
いつも冗談を飛ばし、みんなを笑わせている…。
こんな人材が、パレスチナにはとっても多いのだ。
アジアの国で経験し続けた、「遅れてくる」「適当な理由で休む」「仕事をサボる」
「動機付けがなかなかしにくい」といった問題点が、まったく感じられないこのパレスチナには驚いている。
ハーディもその一人。
こんな3人の有能なローカルスタッフに囲まれて、今日も心理社会的ケアは続いていくのであった。
桑山紀彦 |