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事務所の1階で行っている青少年活動は、子どもたちを集めたものだから大変にぎやか。仲のいい友達なんかできちゃったらもう大変、騒がしくて近隣への迷惑が心配になるほどの元気さである。
しかしパレスチナの子どもたちは、概して家庭ではおとなしい。
兄弟が大変多く、平均で8人という大兄弟姉妹の中で育っているので、必ず下の子どもの面倒を見て、大人っぽくなっている場合が多いのだ。だから事務所のワークショップや英語クラスでは、逆に羽目を外して元気なわけだが、それはこの「家庭ではおとなしい」ことの反動かもしれない。
ほとんどしゃべらず、母親が一方的に話しつづけるところを幾度かさえぎって、ガーダは丹念に子どもからいろんなことを聞き出していく。
兄弟の関係はどうか
学校はどんな感じか
お父さんとは仲いいか
イスラエル軍の砲撃や銃声はどうか
銃で撃たれてなくなった友人のことはどう思ったか
単純な学校生活だけではない話題が、このラファの街にはたくさんある。
そんな話題に囲まれながらも子どもたちは育っているのだ。家庭訪問はそんな「現場」を見られる貴重な場でもある。
アフマッド、13歳
彼の家は、半分削られている。
国境線に接しているのだ。
家の横はすでにブルトーザーで地ならしされて、平原のようになっている。
すぐそこには有刺鉄線とイスラエル軍の監視塔が見える。
夜に出歩いていると、だれかれかまわず撃ってくる監視塔だ。
そんな「現場」に接して住むアフマッドも、事務所のワークショップと英語クラスに通う生徒なのだ。
事務所では元気がいい。
でも家では、ちょっと気恥ずかしそうだ。
そんなアフマッドにガーダは聞いた。
「銃の音は怖くない?」
「ウン、大丈夫」
「どうして?」
「僕は強いから」
「ホント?」
「本当さ。僕はイスラエルの銃なんかは恐れない」
「でも、人間は恐れるってものじゃないの?」
「・・・」
家庭訪問でもちゃんと小さなカウンセリングを織り交ぜる。
そうやって今日もガーダはこの国境線に接するブラジル地区の子どもたちの家を回っているのだ。 |