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更新: 2006年4月1日
 
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 NPO法人「地球のステージ」では、海外において支援活動を行っています。
 

 
 

 

京都大学大学院医学研究科
病理系専攻博士課程2年(小児科医)
 松田二三子


松田二三子医師
 


派遣時期:  
2006年3月1日〜3月15日
派遣先:    CAMP JAPAN, Tandali, Muzafarabad
派遣の目的: 主にモバイルクリニックによる診療行為を行うこと。



 
  概略: 
平日9時−14時(受付終了13時30分)、土曜日9時−12時(受付終了11時30分)、日曜休診、で診療を実施している。現在診療は現地パキスタン人医師(男性)が中心となって行い、患者数は少ない日(雨の日)は一桁のこともあったようだが、多い日は100人前後のこともあるそうである。入院加療及び精査が必要と判断された患者はムザファラバード市内の病院に紹介し、その中でも緊急を要する患者は車による搬送を行っている。クリニック内には抗生剤・解熱剤・駆虫薬・点眼薬等、ここでの診療に必要な薬品は概ね揃っている。
 


現地医師の方針及び診察上の留意点:
 
現地医師より、
1)患者の訴えたことだけについて診療をする 
2)患者数が多いので一人に時間をかけない
3)最大限の薬を出す(発熱が主訴の小児にはほぼ全員に解熱剤を分3で処方していた)

という方針で診療を行っていると伺った。
また診察上のマナーとして、聴診は衣服の上から、特に女性にはなるべく背部だけで行うようにと言われた(乳児・幼児はこれにはあてはまらない)。女性医師が女性の衣服に覆われている部分の身体の診察を行うことは可能で、自分から衣服をめくって見せてくる患者もいたが、その場にいる男性は部屋から出るか、診察が終わるまで背を向けていなければいけない。そのような場合、現地人医師は視診せずに患者の訴えだけで投薬をしているようであった。また、妊娠している女性は医療知識のある女性スタッフに任せていた。


クリニックを受診する患者:
 

キャンプの住民、及び近隣住民が受診。小児は上気道炎・下痢症(寄生虫を含む)が多い。割礼後の感染症というのも滞在中に2例ほどあった。搬送された患者は妊娠3か月の性器出血(流産の疑い)の女性と、生後1か月未満の肺炎疑いが2名(滞在中)で、やはり乳児にとっては過酷な環境であると思われた。体重は計れなかったが、体格からして日本の新生児より体重は少ないようで、おそらく出生時体重は2000g前後であろうと思われる(定義上2500g未満は低出生体重児)。成人も上気道炎は多く、その他として頭痛・関節痛・筋肉痛が多かった。不定愁訴でクリニックの常連になっている者もいたが、精神的なサポートが必要な患者かもしれない。

改善点: 

診療中にほとんど手を洗っていない状況だったので、手洗い用のタンクを設置していただいた(タンクは既にあったが使われていなかったらしい)。

今後の課題: 
新生児の肺炎等の感染症に関しては、そのリスクの大きさからして、なってからの治療より感染症にさせない努力が必要かもしれない。長く続きかつ住民の居住が安定しているキャンプでは出生した児の把握や、家族が嫌がらなければ定期的な家庭訪問による児の体重増加を含めた健康状態の把握が有用かもしれない。また、小児にはシロップ剤を処方することが多かったが、果たして指示どおりの服薬ができているかどうか(現地では、シロップ剤はティースプーン何杯を1日何回というように服薬の指示が出される。ティースプーン(1杯=5ml)は配布されているとのこと)については、検証してみてもいいかもしれない。成人では、クリニックに来られない程調子の悪い人、例えば鬱状態の人などに対するサポートも必要かもしれない。クリニックでは気をつけていないと、薬がいつのまにか切れているということがあった。本当は薬を手渡しているスタッフが補充についても責任を持つのがいいとは思うのだが、何もかも日本流を持ち込むのも難しいのだろう。(たかだか2週間いた程度でえらそうな事は言えないことは重々承知の上で書かせていただきました)

 

 
  場所の選定: 
キャンプから車でおよそ30分の範囲で、いくつかの集落へと出かけた。
2週間の滞在中、合計7回行くことができた。場所の選定は現地スタッフに
お任せした。
 

                                                    
集落の患者: 
クリニックと疾患構成は似ている。その他として、皮膚疾患では疥癬、真菌症が多い。またアトピー様にがさついた肌の子どもが目立ったが、身体を洗う機会が非常に限られているためかもしれない。成人では口腔内の疾患、歯痛(う歯)と歯槽膿漏が目立った。

今後の課題: 
う歯・歯槽膿漏についてはやはり予防教育をしていかないとだめだろうと思う。モバイルでは、小児が一人で診察を受けにくることがあったが(ほとんどは医者にかかってみたかったという感じの元気そうな子だったが)、ある年齢以下の小児には、原則として保護者の付き添いがなければ薬の処方はしない等の約束事が必要かと思った。キャンプ内のクリニックでもそうであるが、悪化した場合を考慮すると、抗生剤を悪く言えばばらまくように処方せざるを得ない。一方で耐性菌を作らない努力も必要と考えられる。モバイルクリニックでは耳漏の出ている中耳炎の小児が2人ほどいたが、時間的制約等で耳漏の除去が不十分であったことは反省点である(耳漏をきちんと除去しないで点耳薬を使うのは耐性菌をできやすくしてしまう。一応母親にはきれいに拭いてから使うようにとは話したが)。特に小児に関しては耳鏡があるといいと思った場面が何度かあった。

その他の感想: 
◎現地では鶏が放し飼いにされており、またカゴに入れて売りに行く人もマーケットで見かけた。また、どこかの村で肺炎に何人かの人が亡くなったという情報があるとも聞いた。鳥インフルエンザはパキスタンに限らず、どこで発生してもおかしくない状況下にあり、現地で働く日本人スタッフが大勢いることを考えると何人か分のタミフルは常備しておいた方がよいのではないかと思った(WHOや日本大使館等で迅速にもらえるなら別だが)。

◎現地の人と同じ服装をしなければならないものではなかったが、外国人が着用しているとやはりうれしいようで、距離が縮む感じがする。診療行為にはプラスになると思う。

◎モバイルクリニックでは当初、受診する人が緊張するためか表情が堅く、薬の服用方法等の説明が理解できているかどうか、診察に満足できたかどうかが表情から読み取れなかったが、何度かやっているうちに明るい雰囲気になっていった。これはひとえに、患者にわかりやすく話をしてくれた(横で聞いていて言葉はわからないが空気でみてとれた)、かつ人を拒絶しない雰囲気を持つ森尾看護師の力によるものが大きい。また別段さんには日本人らしい几帳面さでサポートをしていただき、私は診療以外のことについては、何も考える必要がなかったことは非常に心強かった。お二人がいなければ、私個人では何もできなかった。お二人を含め、林田さんを始めとする現地日本人スタッフの方々に改めて感謝と敬意を表したい。

     

 

 
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