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サッカー大会 その序章 (その1)
水曜日、どきどきしていた。
前夜はあまり眠れず、早起きしていた。
その日はキャンプにいる26人のエージェント(各地区代表・代理人)が集まる予定の日だからだ。
「もしも来なかったらどうしよう」
正直それだけ思っていた。
NICCO(日本国際民間協力会:京都)のアドバイザーという形でこのイラン南東部大震災の救援事業に参加させてもらっているわけだが、NICCOとして行う膨大な数の配給物資提供の仕事はある意味分かりやすい。それは「みんなそれを求めている」からだ。だから向こうからやって来るし、何が何でもえようと必死でもある。しかしサッカーの大会は違う。向こうがどのくらい求めているのか、正直わからない。だから、この事業「サッカーによる心理社会的ケア」は失敗する可能性が結構あるのだ。
しかしかといって明らかに求められていることだけを行うのではなく、心の奥底にあるニーズを発掘し、最初はあまり活発でなくも、やり遂げてみて、
「ね、やっぱりやって良かったでしょ」
と言えれば、それも成功だと思う。
だからこのサッカーについては、かなり精神的なストレスがあるが実行しようと思ってきたのだ。
10時集合。
通訳のメラーットが、「一人来た!」
もうそれだけでほっとしてしまう。しかし案の定集まりは悪い。キャンプへ拡声器でアナウンスしてもらう。運悪く、別の団体がクルマに乗せた拡声器で別のことを話し始めた。おいおい、やめてくれよ〜…。
ゆっくりとだけど、確実に一人ひとりエージェントが集まってきた。実際にキャンプを回って、この日のことを伝え、写真を撮って登録した人たちがほとんど来てくれた。総勢で13人。上出来だと思った。早速話し合いに入った。
皆とても活発である。
「12歳だけだと、6チームもできないな」
「だけど、あんまり歳が離れると、小さい子がついていけないね」
「11歳以下は学校があるからな」
エージェント同士で話し合いが成り立っていく。大したものだ。そしてうれしい。
「何チームくらい作れそうですか?」と桑山。
「そうだなあ…」
みんな考え込んでいるが、第2ラインをまとめている白いおヒゲのエブラヒムさんが、
「よし、じゃあ、チームを作れそうなエージェントがその登録用紙を持っていって、子どもを集めよう。年齢は10歳から13歳でどうじゃ?」
「賛成!!」
あっけなく決まった。大した人たちだ。
チームを作れそうなエージェントが紙を持っていく。紙を持たないエージェントはそれを支援する形で話が決まった。
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「チーム・アルゲバム」のみんなと
(桑山の左横はヤズダン、その横がエージェント)
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実に1時間あまり…。
エージェントは自分たちの担当する地区を代表する子どもたちを集めるために一生懸命考えていた。それだけで感動した。
自分たちの生活だけでも大変なキャンプ暮らしだけど、子どもたちのサッカー大会にちゃんと真剣になれる大人たちを見て、思わず
「イランっていいなあ」
と思う桑山だった。(どこが悪の枢軸?)
その日の午後3時に子どもたちを連れてサッカーコートに集まることで解散となった。
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